こんにちは。
テナント物件専門の不動産コンサルタント、
チャレンジ・スペースの梶谷です。
弊社には、テナントビルオーナーさんから、何かしらのお困りでご相談が入ることが度々ありますが、
その中でも多いのが次の3つですね。
1つは、空室でお困りのケースです。
2つ目は、賃料の滞納です。
3つ目は、テナントの入居マナーに関するトラブルです。
2つ目と3つ目に関しては、ここでは、注意してもどうにもならないため、もう出て行ってもらいたい、というケースについて限定して考えます。
さて、この中で、もっとも厄介なのは、どのトラブルでしょうか?
一般的には、空室がオーナーにとって最も避けたい頭に浮かぶトラブルに思われがちではないでしょうか?
なんせ、入居者がいなければ賃料が入ってこず、物件の維持管理に費用が垂れ流しになってしまうからです。
さらに借り入れで物件を建築または購入されているケースなんかでは、考えてだけでも冷や汗が出てきてしまう気持ちになるのもよく分かります。
つまり、空室では、収入がないのに費用が発生し続ける、という大きな問題を抱えてしまうわけですね。
もちろん、物理的な空室の管理やメンテナンスといった問題も発生してきますが、
やはり、空室イコールお金の問題、という図式が頭を占めることになるでしょう。
さて、次に滞納の場合はいかがでしょうか?
ここでは、何ヶ月も支払いがない、悪質なケースについて考えます。
まずは、滞納ということは、賃料が払われていない、つまり空室と同じだと言うことです。
さらに、空室より都合が悪いのは、いくら賃料を支払っていないとは言っても、まだ入居中であるため、次の募集ができないということです。
ただの空室の場合は、それはそれで大変ですが、色々知恵は絞りながらも、新規の募集活動はできる状況にありますが、
滞納でまだ入居中の場合は、次の募集活動もままなりません。最悪ですよね。
さらに、すんなり出て言ってくれれば被害は最小限にとどめられますが、場合によっては法的手続きに発展し、それによって莫大な費用がかかるだけでなく、貴重な時間や、大きな心理的ストラクがかかってきてしまいます。
また、一般の賃貸住宅などとは異なり、テナントの内装造作が施された店舗などテナント物件のケースでは、
ただでさえ滞納でお金のないテナントが、明渡しに際して、内装造作の原状回復ができるお金が残っているケースは、残念ながらとても少ないでしょう。
このように、滞納のケースでは、単なる空室トラブルと比較しても、それにプラスして様々な金銭的、時間的に、心理的な負担がテナントビルオーナーに降りかかってくることになるのです。
さて、最後にもう3つ目の、素行の悪いテナントが入居しているリスクについてです。
このケースでも、もう出て行ってもらいたい、という最悪のケースについて考えてみます。
入居マナーが悪いと行っても色々ありますが、店舗や会社といったテナントの場合は、
賃貸住宅のような入居者本人だけに限定されずに、その会社や店舗の従業員や取引先、さらには店舗の顧客といった、実に幅広い関係者が、その原因になる可能性があるわけです。
そのため、第三者から被害の報告があっても、その原因とか加害者を特定するのが非常に難しい、というのが実情です。
そのためにも、店舗や会社といったテナントを入居させるにあたっては、契約時点で、その契約者である店舗や事務所の責任者の方にきちんと関係者も含めた入居態度の徹底をコントロールしてもらえるかどうかを見極めなくてはいけません。
つまり、入居審査や、契約時の入居ルールの徹底がとても大切になってきます。
弊社では、ビルオーナーさんからの依頼があれば、そのビルにあった入居ルールを定めた館内規則を作成し、現場の関係者に徹底しやすい体制づくりもしています。
話が脱線しましたが、テナントの入居トラブルは、原因が特定しづらいこともあり、原因が特定できる段階になってみたら、被害が大きくなる傾向にあります。
また、このような入居マナー違反、つまり、契約違反で契約を解除しようとしても、加害者であるテナント側も、そう簡単には、
はい、そうですか。分かりました。出て行きます。
とは、ならないでしょう。
そして、法的に解決しようとすれば、滞納の時と同様に金銭的、時間的、心理的な負担がかかってきます。
さらに、入居マナー違反(契約違反)による解除は、滞納のケースのように、この位の期間の滞納ならば解除は認められるだろう、という目安のようなものはありません。
さらに、滞納とは異なり、マナー違反による被害が、同じビル内の他のテナントや近隣にまで及ぶケースも間々あるため、空室や滞納とは異なり、被害やリスクが拡大する可能性があります。
以上、なんだかとても驚かしてしまったかもしれませんが、よる要点は次の2つです。
●空室リスクもとても大きなリスクではあるが、滞納やマナー違反などの不良入居者リスク(テナントリスク)は、結果的には空室リスクよりも大きなリスクになる。
●空室リスクの解消には、知恵やお金がかかるケースが多いが、滞納やマナー違反などのテナントリスクはお金をかけずに避けることも可能である。そのためにも、入居審査が重要。
以上、テナントビルのオーナーにとってのリスク比較(空室リスクとテナントリスク)をお伝えさせて頂きました。
横浜市、川崎市、神奈川県、東京都内などで、テナントビルや貸ビル、貸店舗、貸事務所、賃貸オフィスなどのテナント経営をされている
不動産オーナーの方々のご参考になれば幸いです。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございます。