こんにちは。
テナント物件専門の不動産管理会社、
チャレンジ・スペースの梶谷です。
最近、電車内の広告などで、鉄道会社や大手企業が運営するシェアオフィスの広告を見かけるようになりましたね。
弊社が立ち上げに関わった最初のシェアオフィスが2009年ですから、あれから丸10年です。
なんか、納得です。
どんな事業でも最初は大手は手を出してきません。
ニーズが知れ渡り、多くの事業者が参入し、市場が確実に見込まれる段階になって初めて、大企業は動くものですからね。
さて、シェアオフィスの黎明期から現在に至るまで、立地や建物のグレード、受けられるサービスの内容や価格など、千差万別ですが、
これまで世に出た多くの施設には1つ大きな共通点があります。
それは、必ず施設の運営者がいる、ということです。
つまり、物件を所有し、賃貸物件として貸し出す不動産オーナーである貸主とは別に、
シェアオフィスを作って開業し、その後、日常の運営を行う専門の人達がいる、ということです。
ですから、厳密に言うと、
シェアオフィスとは、
シェアオフィスという、多くの人にワークスペースを提供する店舗、ということも言えると思います。
ここら辺は分かりにくかったらすみません。
要は何が言いたいかというと、
一般の、カフェやクリーング屋などと同じで、
シェアオフィス、という商売をするために、賃貸物件を借りるテナントだということです。
そして、これらの借主であるテナントは、
一般的には、物件を貸しているオーナーにとっては、やろうと思っても中々すぐには始めることができない専門的な事業をやっています。
例えば、いくらカフェが流行っているからといって、またいくら儲かるからといって、
不動産オーナーあるビルオーナーが、自分もカフェを始めよう!と思っても、
カフェを始めるには、相当な初期投資、つまり資金が必要なだけでなく、
ノウハウや仕入先、
それに、最近では、人材の確保も大変なため、そんなに簡単に始められません。
つまり、貸主と借主は、知ってか知らずか、餅は餅屋と言った、お互いに寄り添う分業体制になっているわけですね。
さて、前置きが長くなりましたが、これの何が重要かというと、
実は、シェアオフィスという事業は、ビルオーナーというシェアオフィスというビジネスの専門的な事業者ではない貸主の立場にある人にとっても、実はとても始めやすい事業である、例外的なテナント事業、店舗ビジネスであるからです。
弊社のオフィスも、10年前に弊社がビルオーナーさんと一緒に立ち上げたシェアオフィスの中にあります。
ノウハウが全くない中で始めた当初は手探りでとても大変でしたが、
今は、入居待ちができるほどの満室経営になっています。
そのお陰で、一棟丸々空いてしまっていたビルの他の階も含めて満室です。
弊社は、企画・開業・運営のプロデュースを行い、しばらく経ってからは、運営は、オーナーさんが自らやるようにバトンタッチしました。実はココがミソなのですがね。
立地は、街中やオフィス街などではなく、横浜の内陸部にあるニュータウンの、そのまた中心から外れた、周辺には戸建てやマンションが立ち並ぶ、駅から徒歩6分の、どちらかと言うと、オフィスとしては悪立地と言える場所です。
あの当時、一棟借りしていたテナントが出て行ってしまい、困っていたビルオーナーの相談を受け、
そんな立地ではありましたが、試しにやってみたら、意外なニーズあったというわけです。
恐らく、あの当時、日本で初めての住宅地におけるシェアオフィスだったと思います。
そのコンセプトは、
『自宅の側(そば)で働きませんか?』
あの当時から、
『職住近接』が現代の社会問題の全てを解決する!
と、真剣に考えていた自分にとっては、一つの大きな実験でしたが、
10年経った今から振り返ってみると、大きな潜在的ニーズがあった事を実証できたと思っています。
なぜなら、自分達の小さな成功だけでなく、なんせ大きな企業が都心だけでなく、郊外立地でも参入している現状を考えると、
これは、もう一つの、世の中の大きな流れになったものと確信できます。
さて、ここからが実は本題なのですが、
シェアオフィスという事業にとっての一番の足かせは何だと思いますか?
もちろん、運営のノウハウや体制づくりなども重要な要素になりますが、
実は、1テナントとして物件を借りるための『賃料』が最も大きな足かせとなります。
その証拠に、世の中で上手くいっているであろうシェアオフィスを眺めてみると、
●好立地で、大資本を投下して、高級志向のサービスを、高額のサービスで展開している事業者
●大企業などの社会的信用の高い団体が、自社物件や、またはグループ会社の建物を使って、恐らく比較的安い賃料で借りてサービスを提供している
●シェアオフィスなどの専業事業者が、チェーン店として多店舗展開することによって利益を出している
●小規模事業者か築古の建物で運営している
など、推測するには、以上のように、賃料という負担をできるだけ軽減させるか、
もしくは、高い賃料を吸収できるサービスや、それを可能にする投下資本、または営業力を備えているなど、
一般の店舗ビジネス同様に、いかに賃料の負担を軽減する仕組みを持っているか、ということが
このシェアオフィスビジネスの成否においても大きな要素になっているのです。
でも、シェアオフィスという事業が、その他一般のテナント物件を借りて行う店舗ビジネスと違う理由は、
ビルを貸す側であるビルオーナーにとってもやりやすいビジネスだということなんです。
というか、むしろビルオーナーにとってこそ向いているビジネスだと私は思っています。
それには、大きく以下の3つの理由があります。
まずは、上記の通り、ビルオーナーであるため、開業時の賃料負担を軽減することが自分の判断で容易にできるということです。
もちろん、ビルの管理には様々な費用がかかるため、いづれは賃料から利益分を差っ引いた運営管理費等相当額は稼がなくてはなりませんが、
でも、一般のテナントが最初から賃貸借契約書で決められた固定の市場家賃を、新しく始めた店舗ビジネスの成否に関わらず払い続けなくてはならない事と比べると、これはとても大きなアドバンテージになります。
新規開業の店舗が潰れる時は、賃料の不払いが発生する事が多いことからもよく分かりますよね。
次に、大きな初期投資が必要ない、ということです。
多くの店舗ビジネスでは、開業時は、数百万から千万単位の工事や設備投資が必要になってきます。
しかし、シェアオフィスでは、オフィスとしての空間を提供という事業であるため、
大抵のビルでは、空室の目立つ空中階の上層階は、内装が綺麗か汚いか、設備が最新か古いかなどは別として、基本は事務所使用であるため、
極論、そのままで貸すことができます。
でも、このような事をお伝えすると、必ず、それでは誰も借りる人がいないとか、
これではみっともないとか、
こんなのでは、シェアオフィスとは言えない
などと言った意見を聞きますが、
それについては、直接お問い合わせの上、聞いてください。幾らでも始め方のアイデアはありますから。
さて、最後にもう一つは、シェアオフィスをやっていくにおいて、誰が管理するか?という問題です。
これも、答えを先にいいます。
それは、ビルオーナーさん、もしくはその関係者、もしくはアイデアを使って無人、というのが答えになります。
正直、無人はあまりお勧めできませんが、知恵または設備を使えばある程度は可能です。
こういう話をすると、またもや、なんでビルオーナーである自分達が管理しなくてはならないのか?
本業で忙しくて対応する暇がない、とか
同じく、本業で人出が足りないのに、これ以上人出を増やせない、など反論を頂きます。
でも、これについても、幾らでも対応策はあります。
さて、管理の仕方は、実は肝ですが、だいぶ話が長くなってきたので、またの機会にお伝えしますね。
具体的に考えてみたい、という方がいらっしゃいましたら、個別にご相談に乗らせて頂きますので、その際にお尋ねください。
以上、空きビルの空室対策としての自主管理型シェアオフィスについてお伝えさせて頂きました。
横浜市、川崎市を中心に、神奈川県、東京都内で、
貸しビルやのテナントビルを所有されている不動産オーナーの方々、
その他、賃貸経営をされている大家さんや地主さん、
また、これからテナント物件をはじめとした収益物件で不動産投資をされる方々に
少しでもお役に立てればに幸いです。
今回も最後までお読み頂き、ありがとうございます。